日常の喧騒を忘れ、心と体を解きほぐすスパ空間。その心地よいひと時は設備やサービスの良さだけでは生まれません。スパ施設での体験の質を向上させるためには効果的な照明や香りの使用など五感へ細やかに働きかけるような工夫が必要です。 本コラムでは、スパの空間演出を印象的なものにするためのポイントをいくつかご紹介いたします。 リラクゼーションを求める人にとって記憶に残る空間をつくるための参考になれば幸いです。
スパ空間の魅力を引き立たせるために取り入れたいのが「香り」による演出です。香りは五感のなかでも特に記憶や感情に直接働きかけるため、うまく活用すれば施設の印象アップや利用者のリピート率向上につなげることができます。
スパ施設ではヒノキやラベンダーなどのエッセンシャルオイルを取り入れるのもおすすめです。ヒノキの香りは森林浴のような安心感と落ち着きをもたらし、副交感神経を活性化してストレスを和らげる作用も期待できます。ラベンダーは鎮静効果が高く、施術室や休憩スペースでの利用が適しています。
香りは脳の記憶や感情を司る部分へ作用するため、五感のなかでも特に記憶と結びつきやすい感覚です。特定の香りを嗅いだ時に、その香りと結びついた記憶を思い起こす現象を「プルースト効果」といいます。スパ施設内に心地よい香りを漂わせることで、他の場所で同じ香りを嗅いだ時に施設での体験や感情を思い出してもらえる可能性が向上し、ブランドや施設の印象の定着にもつながるかもしれません。
ただし、香りが強いと不快に感じられてしまう場合もあるため、香りやアロマディフューザーを選定する際は空間の広さや換気の頻度も考慮に入れましょう。
季節や時間帯によって香りを変える工夫もおすすめです。たとえば夏は清涼感のあるペパーミントの香りを使えば爽やかさが加わり、冬は温かみのあるウッディ系の香りを使えば安心感を得られ心もほぐれます。朝は柑橘系の爽やかな香りで気分をリフレッシュし、夜はラベンダーやゼラニウムなどで深いリラックスへ誘うのも効果的です。
他にも、クリスマスやバレンタインなどイベントに合わせて特別な香りを用意すれば、リピーターを楽しませることもできるでしょう。
スパの施術空間はもちろん、温水プールでも使える水用のフレグランス「ウォーターパフューム」をご存知でしょうか?
KIKAOのウォーターフレグランスをはじめとしたウォーターパフュームを使えば、スパでの体験がさらに特別なものとなるでしょう。
国内では、スパの温水プールでは基本的に、衛生管理や設備保護の観点からエッセンシャルオイルの使用は禁止されている場合が多いようです。
一方、KIKAOのウォーターフレグランスは水やお湯に混ぜて使用するものの、水質に影響しないため、温水プールの水質管理が煩雑になることもありません。また、油分やアルコールを含まないため、機材や設備を傷める心配もありません。
香りの種類も豊富で、スパ施設のコンセプトに合ったものを選べる点も魅力です。温水プールに香りを加えることで、スパでの演出効果もワンランクアップできるでしょう。
KIKAOのウォーターフレグランスについて詳しく知りたい方は、ぜひ以下のページもご覧ください。
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スパ空間の質を高めるには、壁紙や内装素材にもこだわりましょう。視覚だけでなく、触覚にも働きかける工夫があると、利用者がより深い癒しを感じることができます。
木目調や石材調の壁紙は、自然の温もりや落ち着きを感じさせてくれる素材です。凹凸のある壁紙やデザインパネルの場合、間接照明と組み合わせることで美しい陰影が生まれ、空間に奥行きと立体感をプラスできるでしょう。
また、織物調や和紙壁紙など、手触りが心地よい素材もおすすめです。湿気が多いエリアでは、防湿・防カビ性や掃除のしやすさも考慮すると長く快適に使えます。
空間の印象は色で決まります。くすんだ青や緑などのアースカラーは、緊張を和らげ、心が落ち着きやすい空間を演出するのに適しています。他にも、ベージュなどの落ち着いた色味は、癒しの効果を生み、他の素材や家具とも調和しやすいでしょう。
他にも、季節に合わせてクッションカバーやカーテン、小物の色を変えることで、コストを抑えつつ雰囲気をがらりと変えることができます。照明の光の当たり方によっても色の見え方は変化するため、昼夜どちらの印象も確認して選ぶことをおすすめいたします。
スパ空間は「バランス」が大切です。壁紙や素材のデザインは主張しすぎず、施設内のBGMや香りと調和するよう控えめにすると、空間全体が心地よくまとまるでしょう。
圧迫感が出やすい大きな柄や、ビビッドな原色系の色合いは避け、細かい柄のデザインや、ベージュ・グレージュといったニュートラルな色合いでまとめると、よりリラックスできる雰囲気になります。
家具やインテリアの選び方も、スパ施設の心地よさに大きな影響を与えます。素材や配置にこだわり、内装や雰囲気に統一感のある、快適な空間づくりを実現しましょう。
木材やラタン、リネン、コットンなどの自然素材の家具・素材を取り入れることで、温かみや落ち着きが感じられる空間が生まれます。また、素材のトーンを揃えることで視覚的な統一感もアップし、五感で癒しを感じやすくなります。肌に触れるタオルやソファの布地は通気性のよいリネンやコットンを選ぶといいでしょう。
家具の表面の仕上げや木目のデザイン、ソファやクッションの素材の柔らかさや温度感にも配慮すると、より快適な時間を過ごせる空間になるでしょう。さらに、耐久性や掃除のしやすさも重視して選ぶことで、長期的な満足度も高まります。
家具の配置は、空間の使いやすさや印象を大きく左右します。通路は広めに確保し、移動しやすく設計しましょう。ベンチやチェアの向きを少しずつずらして配置すると、他の利用者との視線が合いにくくなり、プライベート感がアップします。
動線上に障害物を置かないように注意しつつ、鏡をうまく使って奥行きを出すような小さな工夫で、利用者がストレスなく快適に過ごすことのできる空間を作ることができます。
照明の色や雰囲気と家具の色味を揃えると、空間全体にまとまりが生まれます。間接照明のやわらかな光が、木や布など天然素材の質感を引き立ててくれるため、心地よさがより一層引き立つでしょう。
たとえば、ソファやテーブルの近くに間接照明を配置することで、くつろぎの場をやさしく照らし、目的に合った居心地のよい空間演出が可能になります。家具の配置に合わせて照明の位置や明るさを調整することで、見た目にも洗練された印象を与えることができます。
スパ空間では、「光」の使い方が全体の印象と居心地に大きな影響を与えます。やわらかな光や、内装やインテリアとのバランスがとれた明るさは、訪れた人の心を自然と穏やかにし、深いリラクゼーションへと導きます。
ここでは、照明の工夫によって、スパならではの心地よさを引き出すポイントをご紹介いたします。
スパ施設の照明にはシーリングライトやダウンライトなどの直接照明よりも、壁や天井を照らす間接照明の方が適しています。光源が目に入らないためまぶしさを感じにくく、目の疲れやストレスを感じにくくなります。
たとえば天井を照らすコーブ照明や壁面を照らすコーニス照明を取り入れれば洗練された雰囲気を演出することができます。また、デザインの自由度が高いことから、細長く柔軟なLEDテープライトを家具の裏や階段下に埋め込んで間接照明として使うような方法も広がっています。
スパ施設内の浴室やプールなど湿度の高い場所に設置する照明は必ず防水性能のあるものを選びましょう。設備を選定する際は照明の安全性と耐久性も考慮することが大切です。
光の色温度(ケルビン)や照度(ルクス)は、空間の雰囲気や過ごす人の気分にも作用します。スパ施設では温かみのある電球色(2700K~3000K)を中心に、利用する時間帯や用途によって明るさを調節できるシステムが理想的とされています。
色温度が高い照明は青みがかった白色で、すっきりとした印象を与えます。一方、色温度が低い照明はオレンジがかった温かみのある色合いで、落ち着いた雰囲気を演出します。
たとえば、脱衣所やパウダールームなど身支度を整える空間では、少し明るめで活動しやすい光を設定するとよいでしょう。対して、浴室やリラクゼーションスペースでは、やや暗めの照明を用いることで心と体を落ち着かせ、より深いリラックスへと導くことができます。
■エントランス・受付
エントランス付近では、色温度3,000〜3,500K、照度300〜500lx程度の照明が空間演出に適しているとされています。ほどよい明るさと温かみのある光により、来訪者に安心感や親しみを与える効果が期待できます。
なお、清潔感を重視する場合は、白色系のやや高めの色温度(4,000K前後)を選ぶのも一つの方法です。
■ラウンジ・休憩室
ラウンジや休憩室など、落ち着いて過ごしたい空間には、やや温かみのある色温度2,700〜3,000K、照度100〜200lx程度のやわらかな照明がよく合います。眩しさを抑えた穏やかな明るさにすることで、心と身体をゆっくりと休められる環境づくりに繋がります。
■施術室
施術室では、色温度2,700〜3,000K、照度300〜400lx程度の照明がよく用いられます。やや温かみのある落ち着いた光によって、リラックスしやすい雰囲気をつくりつつも、施術に必要な明るさを確保できます。なお、日本エステティック研究財団の掲げている「エステティック衛生基準」によれば、施術室には300ルクス以上の照度が望ましいとされています。
施術の内容や顧客の好みに応じて、照度や色温度を柔軟に調整できる調光機能付きの照明器具を選ぶと、より快適な施術環境を整えることができるでしょう。
■脱衣所
脱衣所では、やや高めの色温度3,500〜4,000K、照度400〜500lx程度の明るさが使いやすいとされています。白色系の明るい光によって清潔感が感じられ、着替えやスキンケア、ドライヤーなどの身支度もしやすく、機能的で快適な空間をつくることができます。
■浴室・シャワー室
浴室やシャワー室には、暖かみのある色温度2,700〜3,000K、照度100〜200lxが理想的です。なお、防水性能のある照明器具を使用することが前提となります。
スパ空間の価値は、単なる見た目の美しさだけでなく、五感に響く「体験」にあります。光のゆらぎ、心地よい音楽や自然音、癒しのアロマ、手触りの良い素材、使いやすい動線――それぞれの要素がバランスよく調和することで、利用者は日常を忘れてリラックスできる特別な時間を過ごせるでしょう。
これからスパ施設での空間演出を考える方は、「誰に、どんな時間を過ごしてほしいか」を意識して、五感に響く演出を取り入れてみてください。小さな工夫ひとつで、空間の魅力は格段にアップするはずです。価値ある体験をぜひ生み出してみてください。
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