スパ施設で過ごすひとときが訪れた人にとって「また来たい」と思えるものになるかどうか―そのカギとなるのが、香りによるブランディングです。 香りブランディングとは、施設やサービスが持つ世界観や価値観を「香り」によって表現し、来訪者の記憶や感情に深く刻むことで、ブランドイメージの形成や差別化、さらには口コミの投稿やスパ施設への再訪に繋げるための取り組みを指します。 デザインや接客などに力を入れている施設は多いかと思いますが、そこに香りをプラスすることで訪れた人の記憶や感情に作用し、より印象に残りやすくすることができるのです。 本コラムでは、スパ施設における香りブランディングの考え方や効果、導入時に意識したいポイントについて、マーケティングの観点も交えつつ解説いたします。
香りを用いたブランディングはスパ施設の第一印象を左右する要素のひとつです。
香りの力を借りて「心地よさ」「非日常感」「リラックス」といった施設のコンセプトやテーマを表現できれば、訪れた人の記憶に残りやすくなるでしょう。
【香りを取り入れるメリット】
- エントランスや受付に香りを漂わせることで「おもてなしの気持ち」を表すことができる
- 視覚や聴覚だけでは表現しきれない個性や独自性を演出できる
- 香りによって清潔感や高級感があると印象付けられる
- 香りの持つ効果によって初めて訪れた人も「安心感」を覚えやすくなる
プルースト効果とは特定の香りを嗅いだ時に過去の情景や感情がよみがえる現象のことを言います。
海外の嗅覚研究所(Sense of Smell Institute)の調査によると、視覚的な記憶は3ヶ月で約50%に低下するのに対し、香りの記憶は1年後でも約65%の精度で想起できるというデータもあり、香りがいかに長く記憶に残るかが示されています。
香りブランディングを行う際にこのプルースト効果を上手に活用すれば、施設全体の印象や施設内での体験の記憶が香りと結びつき、再訪のきっかけに繋がりやすくなるでしょう。
【プルースト効果に期待できる効果】
- スパ施設やブランドオリジナルの香りを商品化すれば、離れた場所にいても施設のことを思い出してもらいやすくなる
- 香りに包まれているときに感じた「安心感」「期待感」「幸福感」などの感情が呼び起こされ、再訪のきっかけとなる場合がある
ブランドセントとはそのスパ施設独自の世界観やコンセプトを表現したオリジナルの香りのことです。施設名やロゴ、イメージカラーと同じように、香りもブランドを象徴する「顔」として機能するため、ブランドを象徴する香りを施設内やリネン、商品パッケージなどに統一して用いれば、スパ施設の印象がより記憶と結びつきやすくなるでしょう。
【ブランドセントを取り入れることで期待できる効果】
- 独自の香りを用いることで「そのスパ施設らしさ」を表現できる
- ブランドセントを使った商品(アロマスプレー、石鹸など)を展開すれば収益アップにつながる
- 「香りが忘れられなかった」「香りが気に入った」という気持ちが再訪の理由になりうる
- 香りと記憶は結びつきやすいため、空間やリネンなどからブランドセントを感じられるようにすれば訪れた人の記憶により残りやすくなる
単なる雰囲気の演出だけにとどまらない、香りブランディングによって得られる主なメリットを2つの視点からご紹介します。
香りの持つ成分によってストレス軽減やリラックス効果などさまざまな効能を得ることができるため、香りブランディングはスパ施設での体験そのものの質を高める役割を担います。
【体験価値向上の具体例】
- ストレスの緩和など心身ともに癒されることで、施術の満足度にも好影響をおよぼす
- 香りの持つ効能によって「心が落ち着く」「気持ちが前向きになる」など、心理的な満足感も得ることができる
- 香りは感情や記憶を司る大脳辺縁系に直接届くため、香りに包まれながら受けたサービスが記憶に残りやすくなる
満足度が高まることで、「また来たい」「誰かに紹介したい」と感じるきっかけになり、再訪やクチコミの増加にもつながります。
他のスパ施設との差別化を図るうえで、「香り」は忘れてはならない大切な要素のひとつです。
視覚・聴覚による情報や提供するサービスに香りも織り交ぜることで、ブランドに一貫性と深みを与えます。
【差別化によって期待できること】
- オリジナルの香りによって「ここでしか体験できない」という特別感を演出できる
- SNSなどで「いい香りだった」と拡散されることで、話題を呼び認知度が高まることが期待できる
- 香りを伴ったブランド体験が印象に残れば、スパ施設の記憶も鮮明になる
香りによるブランディングはただの雰囲気づくりではなく、体験に深みを与え、ブランド価値を高める本質的な施策と言えるでしょう。
スパ施設で香りブランディングを取り入れる際のポイントをまとめました。
まずはスパ施設のコンセプトを設定するといいでしょう。目指す雰囲気、対象とする顧客層、届けたい体験価値を明確にすることで、採用する香りの方向性も定めやすくなります。
【コンセプトを設定する際のポイント】
- 内装、BGM、サービスなどに統一感が出るようにする
- 「癒やし」「リフレッシュ」など、訪れた人に提供したい体験を整理する
施設で使用する香りを選定するときは、調香師などの香りの専門家へ相談するとぴったりの香りが見つけやすくなるでしょう。
複数の香りをブレンドすればその施設オリジナルの香りを作ることも可能です。
【香りを選定する際のポイント】
- 施設のコンセプトや雰囲気に合った香りを選ぶ
例えば明るい雰囲気にはシトラス系、落ち着いた空間にはウッディ系が適しています。季節やイベント、時間帯に合わせて香りを変化させるような演出を検討するのもいいでしょう。
- 可能であればターゲットとなる顧客層の香りの好みを調査する
- 調香の際には「香りの強さ」「持続時間」「残り香の印象」も考慮に入れる
- ひとつの香りで統一するか、季節や時間帯に合わせて香りを変えるかを検討する
香りを統一すればプルースト効果を狙え、変化をつければ飽きの来ない演出ができます。
空間へ香りを拡散するときに欠かせないのがアロマディフューザーです。アロマディフューザーには大きく分けて4種類あり、それぞれ使用方法や香りの拡散力が異なるため、設置場所に適したものを選ぶことが大切です。
【アロマディフューザーを選ぶときのポイント】
- 香りの強さや拡散力が異なるので、設置する場所に合ったものを選ぶ
- 試験的に設置し、香りの強さや拡散力が適切であるかチェックする
- 空調や換気によって香りの広がり方や持続性が変化することを考慮に入れる
- 定期的に洗浄やメンテナンスを行う必要があるため、手入れのしやすいものを選ぶ
以下に代表的な4種類のアロマディフューザーをご紹介いたします。
・噴霧式ディフューザー
オイルをミスト状にすることで香りを拡散させます。熱を使用しないためオイルが変質せず、本来の香りを楽しめる点が特徴です。
・超音波式ディフューザー
水とオイルを混ぜたものを超音波振動で霧状にして噴出し香りを拡散させます。水を使用するのでオイルの消費量が少ない点、加湿効果もある点が特徴です。動作音が比較的静かなので、落ち着いた空間での使用におすすめです。
・気化式ディフューザー
リードディフューザーやアロマストーンのようにオイルを自然に気化させて香りを拡散させます。控えめに香るので狭い空間での使用におすすめです。
・加熱式ディフューザー
オイルを加熱することで香りを広げます。拡散力が強い反面、オイルが変質してしまうリスクがあるので注意が必要です。
香りブランディングの成功には、スタッフの理解と日常的な運用体制の構築が不可欠です。
【具体的な取り組み例】
- 香りのコンセプトや狙いを全スタッフと共有し、統一したおもてなしを実現する
- 香りを変更する際には事前に試香会を行い、スタッフの意見や来訪者の反応をもとに調整する
- 受付やラウンジなどに香りの紹介カードを設置し、来訪者の興味や共感を促す
- 香りの印象や使用状況に対してスタッフからフィードバックを得る体制をつくる
スパの施術空間だけでなく、温水プールでも使える水用のフレグランス「ウォーターパフューム」をご存知でしょうか?
KIKAOのウォーターフレグランスをはじめとしたウォーターパフュームを使えば、スパでの体験がさらに特別なものとなるでしょう。
KIKAOのウォーターフレグランスは水やお湯に混ぜて使用するアイテムですが、水質に影響しないため、温水プールの水質管理が煩雑になることもありません。また、油分やアルコールを含まないため、機材や設備を傷める心配もありません。
香りの種類も豊富で、スパ施設のコンセプトに合ったものを選べる点も魅力です。温水プールに香りを加えることで、ブランディング効果の向上も期待できます。
KIKAOのウォーターフレグランスについて詳しく知りたい方は、ぜひ以下のページもご覧ください。
【KIKAOの製品ページへ】
香りを使ったブランディングはスパ施設にとって大切な戦略のひとつです。
スパ施設で使用する香りが来訪者の心に残れば、施設全体の印象や施設内での体験がより特別なものとなります。
また、ブランドの世界観を香りで伝える「ブランドセント」を導入すれば、リピート率の向上や他施設との差別化にもつながります。
大切なのはスパ施設のコンセプトに合う香りを丁寧に選び、施設全体で一貫した体験を届けることです。
香りの力を味方につけ、心を動かすブランディングを実現してみてはいかがでしょうか。
KIKAOコレクション