外出前に香水をつけたり寝室でアロマディフューザーを使ったり、日々の暮らしで香りを楽しんでいる方は多いかと思います。しかし、その香りは原料に何が使われ、どこでどのように作られ、どんなふうに私たちの元まで届くのかを意識する機会はあまりないかもしれません。 いま、自然や人に配慮して作られたサステナブルな香り、エシカルな香りが注目を集めています。本コラムでは香料業界やフレグランスブランドにおけるアップサイクルやヴィーガン対応への取り組みの例をご紹介いたします。
アップサイクルとは、本来であれば廃棄されていた素材や製品を活用し、元の品物に付加価値を付けて再利用することです。元の素材や製品をできるだけそのまま使用することため、素材や製品を分解し原料に戻してから再利用するリサイクルと比べエネルギーの消費量や環境への負荷が少なく済みます。
香料の原料にもこのアップサイクルという発想が持ち込まれ、香料業界に大きな変化をもたらしました。アップサイクル香料にはどのような素材が使われているのか、詳しい事例をご紹介いたします。
ワインを製造する工程で発生するワイン粕は、山梨県だけでも年間10,000t以上が廃棄されているといいます。焼却すると二酸化炭素が発生してしまうこと、アルコールを含むため肥料として畑に撒くことができないことからワイン粕の廃棄量削減のために様々な取り組みがなされています。アップサイクルでの転用もそのひとつで、ワイン粕が香水の香料として生まれ変わった例があります。
副産物がアップサイクル香料に生まれ変わり香水へ使用されている例としては、他にも日本酒の製造工程で発生する酒粕や、茶葉の火入れや揉みの過程で発生する粉茶などがあります。
ワイン粕や果物の皮のような発生を避けられない副産物を香料の原料として転用することで廃棄物を削減することができます。また、副産物の使用は農地開発による森林破壊や水資源の浪費を防ぐことにもつながるため、アップサイクル香料が使われているものを積極的に用いれば、自分が楽しめるだけでなく環境への負荷の軽減にもつながるため、香りへの愛着もより深まることでしょう。
アップサイクルされた素材のストーリーを知り理解が深まることで、香りがより味わい深いものに変わります。
たとえば、北山杉の間伐材を使用して抽出された精油には、杉特有の清々しさと、森の中で深呼吸をしているかのような落ち着きが感じられます。日本家屋に使われる杉のイメージも相まって、どこか懐かしさや安心感を呼び起こす香りともいえるでしょう。
素材がどのように生まれ、再利用されたかという背景そのものが製品の個性となる点もアップサイクル香料の魅力です。
近年は動物実験を行っていない製品、動物由来成分を使用していない製品を求める消費者が増えています。こうした声に応えるように、エシカルな姿勢を打ち出すブランドも目立ち始めています。
たとえばAesop(イソップ)やLUSH(ラッシュ)、CLEAN(クリーン)などのブランドでは、製品開発の段階から動物実験を行わないことを明言しています。
日本国内でも大手化粧品メーカーである花王や資生堂が動物実験廃止に向けた世界的な動きに追随しています。今後はさらに多くのブランドがエシカル志向へとシフトしていくことが推測されます。
このようなエシカルな対応は、ヴィーガン対応や動物実験フリーの表示にとどまりません。近年では、多くのブランドが製品が生まれるまでの背景――原料の産地、製造方法、製品に関わる人々の労働環境など――を開示しています。
香り製品を選ぶ際に「どのようにしてこの香り製品が生まれたのか」という製品の製造プロセスに関心を寄せる消費者も増えてきています。こうした情報をブランド側から開示することで、消費者は製品に込められた想いやブランドの価値観に共感できるものから香り製品を選べるようになるのです。
このような透明性向上に対する姿勢は、ブランドや企業への信頼や愛着を育むと同時に、消費者の継続的な製品購入にもつながります。環境への配慮やフェアトレードといった価値観を共有できることが「この香りを選ぶ理由」になり、顧客ロイヤリティの醸成に結びつくのです。
近ごろではさまざまな香りを試しながら自分のライフスタイルに合ったものを手軽に見つけたいというニーズに応え、香りのサブスクリプションサービスも登場しています。
香水やフレグランスアイテムを定期的に届けてくれるサービスで、次回の配達までに使い切れるように少量ずつ届くようになっています。これにより香りが合わず使い切れないまま放置されたり無駄に廃棄されたりすることが減るため、必要な分だけを使うというサステナブルな消費行動につながります。
サステナブルな香りアイテムとして新たにご紹介したいのが、水やお湯で希釈して使用する水用のフレグランスであるウォーターパフュームです。
エッセンシャルオイルを使用していない製品が多いため排水の汚染度合いが小さく、環境に配慮しつつ香りを楽しむことができます。
なかでもKIKAOのウォーターフレグランスは製造拠点がフランス中西部に集中しているため原材料の輸送などによるエネルギー消費が少なく、よりエコフレンドリーなアイテムと言えます。
さまざまな香りがありその日の気分によって好みのものを選べる点も魅力です。
KIKAOのウォーターフレグランスが気になる方は、ぜひ以下の製品ページもご覧ください。
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